オリーブの持つ力

石けんが何で作られているのか、知らない人がほとんどではないでしょうか。

石けんは、基本的に「油」と「水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)」で作られています。

油と水酸化ナトリウム溶液を合わせると化学反応が起きます。そして、石鹸化していきます。

油には、ごま油、オリーブオイル、米油、牛脂、パーム油、ココナッツオイル、スイートアーモンドオイル等々、さまざまな種類があります。

石鹸をつくる際、最も重要なことのひとつは「どの油を材料として用いるのか」ということです。

用いる油の種類によって、できあがる石鹸の性質がまったく異なってくるからです。

私がなぜオリーブオイルにこだわるのか。

それにはきちんとした理由があります。

それは、オリーブオイルの持つ素晴らしい性質のためです。

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オリーブオイルは、オレイン酸を非常に多く含み、石けんにすると、洗い上がりの肌をすべすべとなめらかに柔らかく仕上げてくれます。

冷水でも温水でも素晴らしい洗浄力を発揮し、それでいて、皮脂を取り過ぎることはありません。

また、スクワレンが自然な形で含まれていることもオリーブオイルの大きな特徴です。

スクワレンは、人間の皮脂のなかに10%程度含まれている重要な保湿成分です。高級美容液などの材料としてもスクワレンが用いられていますよね。

また、オリーブオイルには、天然のグリセリンが多く含まれていることも大きな特徴です。

グリセリンは保湿成分でもあり、洗浄成分でもあります。そのため、水分を肌にひきつけながら優れた洗浄力を発揮します。

わたしは、10年以上前から、オリーブオイルを72%以上配合した石けんを作りつづけてきました。

そして、他の石けんはもう使えない・・という感じです。

一時期、作るのがめんどうになって、他の市販の石けんを買って使ったりもしたのですが、どうしても納得のいく使用感のものが見つからず、結局また自分で作ることになってしまいました。


では、オリーブオイルを配合した石けんであれば、どれも同じなのでしょうか?

いえいえ、全体の何%配合されているか、ということもとても重要です。

例えば、わずか5%しかオリーブオイルが配合されていなくても「オリーブオイル配合の石けん」と言うことができますよね。この場合、残りの95%は他の油を配合するわけです。

「顔を洗ったら、ひりひりした」という経験はありませんか?

材料として用いる油の種類によって、石けんの使用感はまったく異なってきます。

ちなみに、以前、ネットで「オリーブオイルを少なめに、パーム油とココナッツ油を多めに配合しました」という石けんが売られているのを目にしました。(しかも、けっこういいお値段でした)

おいおい。

ココナッツオイルというものは、たくさん配合すると痒みや刺激が生じやすい傾向にあります。そのため、配合量に注意が必要です。

また、パーム油は非常に安価なため、石けんの材料として大量に用いられることが多いようです。しかしながら、肌にとってこれといって良い成分を含んでいない上、パーム油の大量生産のために、熱帯雨林が伐採され、オラウータンの生息地が無くなってしまい、その結果、オラウータンが絶滅の危機に瀕しているという環境問題・生態系の問題も生じています。

では、なぜ、パーム油は大量に使われる傾向にあるのでしょうか。それは、非常に安価だからということと、もうひとつの理由は、石けんに配合すると固まりが良くなるからでしょう。パーム油をたくさん配合すると、すぐに固まるので、早く大量に作れます。しかも安価にです。

例えば、わたしの作っているオリーブオイル72%以上配合の石けんの場合ですと、固まるのに一ヶ月かかりますが、パーム油を高い比率で配合した場合は、数時間であっという間に固まります。

ここまで書きましたが、

「えっ、自分が使っている石けんのパッケージの原材料のところには『石けん素地』としか書かれていないよ。どの油が使われているかなんて書かれていないよ。」と思った方もおられるかと思います。

そうなんです。実は、石けんって、食べ物と違って、全ての材料を明記しなくてはならないという法律上の決まりがないんです。

材料を「石けん素地」とまとめて書いてしまってもいいんです。でも、石けん素地とだけ書かれていると、材料に何が使われているのか・・・ブラックボックスですよね。

石けん素地とだけ書かれている場合、牛脂やパーム油が多く使われているように思います。


長くなりましたので、そろそろまとめに入りたいと思います。

そうなんです。私がオリーブオイルにこだわって石けんを作っているのには、きちんとした理由があるのです。

オリーブオイルを材料のメインに用いた石けんは、泡立ちも素晴らしいんですよ。

きめ細かく、ねっとりしたクリーミーな泡立ちに感動します。

泡立てネットを使うと、他との違いがより分かりやすいです。さらにきめ細かく、しっかりと固い泡になりますし、山のようにもこもこと手のひらいっぱいに豊かに泡立ちます。


あ・・まとめたつもりが長くなりました。

オリーブオイルの話になると書きたいことがいっぱいで、どうしても長くなりがちです。

他にも書きたいことがたくさんありますが・・今日はこの辺で。

次回は、「わたしがなぜコールドプロセス製法にこだわって石けんを作っているのか」ということをお話したいと思います。

 

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